目立たないけど重要「障害特性への配慮」の話②
皆さんこんにちは。
東京都立川市にあるグループホーム友セカンドの世話人で、
仕事帰りに見かけたチワワを小脇に抱えて歩道を歩く人の姿をみて笑ってしまった
足達です。
当のチワワは快適そうでしたが、いったい誰の散歩をしていたのか…
さて、前回私は「障害特性への配慮」を題材にブログを投稿しました。
今回はその続編として、障害特性の1つである「先の見通しを立てづらい」利用者様に
この先の予定を伝えるための取り組みをご紹介したいと思います。
1.やることがわからないとパニックになる
要求が通らなかった時、障害特性に触れてしまった時など、利用者様が不穏状態
つまりパニックになる理由は様々あります。
その中には、「今現在何をしていいのかわからない」「次は何をすれないいのかわからない」というような
見通しが立たなくてパニックになる場合もあります。
その様な事態を避けるために、友セカンドで提供してる見通しを立てる支援を紹介したいと思います。
2. 大まかな伝え方で見通しが立って自力で余暇を過ごせる場合
一言で「先の見通しを立てづらい特性」といっても、その度合いは人によって違います。
例えば、
1日のおおまかな予定を1週間分のスケジュールボードにまとめて「今日やること」を赤枠で表すようにしています。
この方は、予定と予定の間を具体的に示さなくてもパニックを起こすとなく居室内で静養することができます。
(*注意:「先の見通しを立てづらい」という特性上、一見落ち着いて居室で過ごしているように見えて、実は何をしていいかわからず指示を待っているという場合もあります。
その状態のままにしておくとパニックから不穏状態になることもあるので
そういった方には行動の手がかりを伝えたり余暇の提供が必要な場合もあります)
3. 2個以上の提示では難しい場合
利用者様によっては、先の見通しを立てることが難しく「今やること」を行動の直前に提示する場合もあります。
ただし、やることが短時間だとすぐに予定が何もない状態になってしまうので、長く興味を持って取り組める行動を探す必要があります(ASDは1度ハマると長時間その行動をとることができます)
ある利用者様は余暇時間に本を読んで過ごしていましたが、だんだん居室で過ごす時間が短くなっていきました
(ASDでも飽きたりマンネリ化はします)
さてどうしたものかと試行錯誤した結果、料理番組のDVDを提供しました。
その結果、約1時間の動画を最初から最後まで見続けることができました。
この利用者様は能力が高く色々なことができるのですが、その能力をアテにしてその場対応をするのではなく、ご本人の興味関心に沿って余暇を提供するということが大事ですね。
4. それでも先の見通しが立つようにしたい場合
結論から言うと、練習あるのみです。
何をしていいのかわからない状態からパニックになるのを防ぐため
見通しが立てられるようになることはご本人にとっても支援者にとっても重要なことです。
現在それに向けて取り組んでいるのが、「写真と実物の時計と同じ形になったらそれをやる」
というものです。
「夕方5時になったらDVDを見る」を伝える場合ですが
事前にカードを貼り、そのカードをご本人に見てもらいながら予定をお伝えします。
因みにカードの下の箱は、予定が終わったらカードを入れる箱です。
(どうやらご本人の中では何かを箱に入れる事で行動を切り替えているようです)
これだけでは「所定の時間まで何をしていればいいか」という課題が解決されないので
合わせて「今やること」もカードを使って提示します。
下のカードは「お部屋で待っていてください」を示しています。
利用者様によっては視覚的な提示をしなくても声掛けで行動できる方もいますが
ASDの方々の「目で見た方が伝わりやすい」特性に配慮することでご本人が効率的に学習することが可能になります。
(*カードの左側の絵は、マカトンサインという会話のできない
聴覚障害と知的障害を持つ人を対象に作られたコミュニケーション方法の「待つ」を示した絵です)
パニックになった時は行動や周囲への影響も大きく、驚いてしまいますが
利用者様ご自身も好きでそのような行動をとっているわけではないこと、環境の改善や対応方法で防ぐことはできるということを意識して支援に取り組みたいですね。
本日のまとめ
・やることがわからなくてもパニックになる
・見通しの立て方は利用者様のできる度合いに応じて工夫する
・見通しを立てられない人に見通しは立てられるようにするには練習あるのみ
・特性に配慮した学習方法で効率が上がる